象牙は合法なの?

「象牙」と聞くと、密猟や違法取引のニュースを思い浮かべて、「買っても大丈夫なのだろうか」と不安になる方もいらっしゃると思います。
ここでは、なぜ象牙の取引が規制されているのか、そして鈴印がどのような手続きのもとで象牙製品を取り扱っているのかを、順を追ってご説明します。

①なぜ象牙の取引は規制されているのか

アフリカゾウとアジアゾウは、かつて密猟と象牙の違法取引によって個体数を大きく減らした時期がありました。
この結果、ワシントン条約のもとで象牙の国際取引(輸出入)は原則禁止となっています。
さらに2016年に改正されたワシントン条約の決議では、加盟国に対して、ゾウの密猟や象牙の違法取引につながる国内市場の閉鎖も勧告されました。

日本では、この決議を受けてもなお、厳格な管理のもとで国内取引を続ける道を選んでいます。

日本国内にある象牙の多くは、この規制が始まる前に輸入されたものです。その後に入ったのは、1999年と2009年に一度ずつ、条約の許可のもとで輸入された南部アフリカの象牙(柔らかいソフト材)だけです。
いま新たに海外から入ってくることはありません。

②規制の一方で、現地では何が起きているのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでは「守るためのルール」の話をしました。
ただ、象と暮らしている人たちの側から見ると、少し違う風景が見えてきます。

アフリカ南部のボツワナには、約13万頭の象がいます。
国の人口が約240万人ですから、住民20人に対して象が1頭いる計算です。

象は畑を踏み荒らし、人が命を落とすこともあります。
そのため、ボツワナ政府は2018年からの5年間で、農作物の被害補償として約1,000万ドルを農家に支払ってきました。

この国では、外国のハンターが高額な料金を払って象を狩ることが、法律で認められています。
その収入は地域に還元され、増えすぎた象を減らす手段にもなっています。

2024年4月、ドイツが、狩猟で仕留めた動物の剥製を自国へ持ち帰ることへの規制を強化しようとしました。
持ち帰れないのなら、ハンターは来ません。
ボツワナにとっては、収入も、増えすぎた象を減らす手立ても失う話でした。

これに対し、マシシ大統領はこう言いました。

「2万頭の象を、そちらに送る。ノーとは言わせない」
「ベルリンにいながらボツワナに意見を言うのは簡単だ。我々は世界のために、これらの動物を守る代償を払っている」とも述べています。
守れと言う人は遠くにいて、畑を荒らされ、命を落としているのは近くにいるこちらだ。
そういう抗議でした。

日本で言えば、クマと人の距離が近づいて問題になっているのと、構造はよく似ています。

一方で、アフリカのどこでも象が減っているわけではありません。
大陸の象の7割以上が南部に集中しており、ボツワナのように増えすぎて困っている国もあります。
密猟自体も、2011年をピークに減少が続いています。
ワシントン条約が地域ごとに異なる扱いを定めているのも、この差があるからです。

守るべきだという声も、暮らしを守りたいという声も、どちらも切実です。
象をめぐる話は、そう単純ではありません。

ゾウの数も、ひとくくりには語れません。国際自然保護連合(IUCN)の評価では、アフリカゾウ全体は「危急」の区分ですが、南部アフリカのゾウは絶滅の心配がない区分(LC)に入り、この100年、増え続けています。

1992年の地球サミットで確認された「持続可能な利用」とは、元金に手をつけず、利子だけを使う考え方です。増えすぎた象の牙を活かすことは、この考えに沿っています。詳しくは象牙専門サイトに書いています。

いただいた命を、大切に

そのうえで、私たちの考えをお伝えします。

象だけが特別に守られ、他は問われない。
その流れには、正直なところ違和感があります。
牛はいいのか。豚はいいのか。日々、口にしている草木はどうなのか・・・

私たちは、命をいただかずに生きることはできません。
だとすれば問うべきなのは「何の命なら許されるか」ではなく、いただいた命をどう扱うかだと考えています。

そして、その考えを形にする前提が、決められたルールを守ることです。

東京象牙美術工芸協同組合では、毎年、象の供養が行われています。「いただきます」と同じ考えです。

次に、日本国内の仕組みと、私たちがどう対応しているかをご説明します。

③日本国内でのルール——「特別国際種事業者」登録制度

日本国内では、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)に基づき、象牙の取引が厳格に管理されています。
事業として象牙製品を取り扱う者は、「特別国際種事業者」として国(登録機関:一般財団法人自然環境研究センター)に登録しなければなりません。

登録した事業者には、次のような義務があります。

  • 取引を行うたびに内容を記録し、5年間保存すること
  • 重量1kg以上・最大寸法20cm以上の象牙製品を新たに得た場合は、管理票を作成し保存すること
  • 登録番号などをウェブサイトや店頭など、消費者が確認できる場所に表示すること
  • 登録の有効期間(5年間)が切れる前に、更新の手続きを行うこと

無登録で象牙製品の取引を行った場合や、事実を偽って登録した場合には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金という重い罰則が定められています。

④全形牙と、印鑑に使う「カット済み象牙」の違い

ここまでは、扱う事業者側にかかる登録の話でした。
象牙にはもう一つ、モノそのものにかかる制度があります。

牙そのものの形が残っている「全形牙」を譲渡する場合は、その牙1本ごとに国への個体登録が必要で、発行された登録票とその牙をセットでなければ取引できません。
一方、印鑑など製品に加工するための「カット済み象牙(印材)」は、全形牙とは別の枠組みで、今回ご説明した特別国際種事業者登録によって管理されています。

鈴印で扱う象牙印材は、このカット済み象牙にあたります。

⑤鈴印の登録情報

では、その鈴印自身はどう登録されているのか。

鈴印は、特別国際種事業者として下記の登録を受けています。

登録番号 第02931号
氏名又は名称 株式会社鈴印
住所 栃木県宇都宮市駅前通り二丁目1番3号
代表者の氏名 鈴木延之
対象とする特別特定器官等の種別 ぞう科の牙及びその加工品
登録の有効期間の満了の日 2031年5月31日

 

 

 

 

 

 

 

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)」第33条の6第1項の規定に基づき、登録を行っており、象牙製品等を取り扱うことができます。

象牙製品の認定シール(標章)。環境省・経済産業省、種の保存法認定、認定番号、一般財団法人自然環境研究センターの表示

鈴印でお届けする象牙の印鑑には、上の写真のような「認定シール(標章)」をお付けしています。環境省と経済産業省の制度のもとで、適正に手に入れた象牙から作られた製品であることを示すもので、一つひとつに固有の認定番号が入っています(発行は一般財団法人自然環境研究センター)。

なお、認定シールの付いていない象牙製品を売ること自体は違法ではありませんが、国はシールの付いた製品を選ぶことを勧めています。また、いまお持ちの象牙製品に、後からシールを付けることはできません。

⑥ご購入いただく際に知っておいていただきたいこと

最後に、お求めいただく前に一つだけ、知っておいていただきたいことがあります。

象牙製品は、国外へ持ち出すことも、海外から国内へ持ち込むことも、原則として禁止されています。
海外にお住まいの方やご旅行中の方への贈り物としてお考えの場合は、この点にご注意ください。

正しい登録のもとで取り扱われている象牙製品は、安心してお求めいただけます。
ご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。

鈴印が扱う象牙については象牙についてに、品質と価格の目安は象牙の品質の見分け方にまとめています。

実印・銀行印・認印ごとの選び方や、象牙印鑑の長所と短所は、象牙印鑑の選び方と価格でご紹介しています。

迷われたときは、ご相談ください

象牙は一本ごとに色も木目も異なります。「実際に手に取って選びたい」「予算の中でどれが選べるか相談したい」という方は、どうぞお声がけください。

宇都宮駅前の店舗では、在庫の中から実物をご覧いただきながらお選びいただけます(月〜土 10:00〜18:00)。ご来店が難しい方は、お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。

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