象牙は「使うほどに手に馴染む」と言われる素材ですが、それは正しい扱い方をしてこそのものです。
ここでは、象牙の印鑑を長く良い状態で使っていただくための、お手入れと保管の方法をご紹介します。
①使用後は朱肉を拭き取る

象牙は朱肉の油を吸い上げる性質があります。
これは象牙が使うほどに紙への吸い付きが良くなる理由でもあるのですが、裏を返すと、印面以外のボディ部分に朱肉が付いたまま放置すると、そのまま染み込んで落ちなくなってしまいます。
捺印のたびに、柔らかい布などで朱肉を拭き取る習慣をつけてください。
②保管は暗所で、気温の変化が少ない場所に

象牙は多少ですが温度の影響を受けます。
直射日光の当たる場所や、夏場に高温になる車内などは避け、できるだけ暗く、気温の変化が少ない場所で保管してください。
印鑑ケースに入れたまま、引き出しの中などで保管するのが理想的です。
③経年変化について

象牙は人の骨や歯と同じカルシウムを主成分としており、木材や角のように反りやヒビ割れが起こりにくい素材です。
天然素材にありがちな急激な経年変化が少ないのも、象牙が印材として長く選ばれてきた理由のひとつです。
使い込むほどに朱肉の油を吸って艶が増し、紙への吸い付きも良くなっていきます。
④黄ばみは、汚れではありません

新品の象牙は真っ白ではなく、薄いクリーム色をしています。
使い込むほどに飴色へ変わり、朱肉を使う印面は朱色に染まっていきます。
これは汚れではなく、象牙の経年変化です。長く使った証として、私たちはむしろ価値だと考えています。
ただし、汚れを放置すると、経年変化ではなく染みになります。
象牙は多孔質なので、朱肉や手の脂が長く付いたままだと内部に染み込み、拭いても落ちなくなります。
きれいな飴色に育てる方法は、①の「使用後に拭き取る」だけです。
⑤印鑑とお箸は、白く戻すことをお受けしていません

「黄ばんできたので白くしたい」というご相談をいただきます。
象牙の印鑑とお箸は、製造元でもお受けしていないため、当店でもお受けしていません。
印鑑は、印面に細い線で文字が彫られています。しかも落としたい汚れは、朱肉の油を含んでいます。
その油を根こそぎ落とそうとすると素材が大きく傷み、ひびが入る危険が極端に高くなります。
印面が欠ければ彫り直しになり、実印なら届け出のやり直しも必要です。
お箸は、反ってしまうおそれがあります。
それに、過酸化水素水などの薬剤を使ったものを、口に入れたくはないはずです。
印鑑とお箸は、白さを求めるより、①の拭き取りで飴色に育ててください。
白ければ良い象牙、というわけでもありません。詳しくは象牙の印鑑・品質の見分け方をご覧ください。
⑥数珠やネックレスは、クリーニングを承ります
数珠やネックレスは、珠や玉がひとつの塊なので、クリーニングができます。汗染みも取り去ることができます。
ただ白くするのではなく、素材を見極め、象牙の良さを残しながら全体の色を調和させる特殊な技術で、対応できる職人は非常に少ないのが実情です。
鈴印でも承っています。料金は28,000円(税別)からで、珠や房の取り替えもできます。
お受けできる品、ご了承いただきたいこと、お申し込みの流れは象牙の数珠・ネックレスのクリーニングにまとめました。再開した経緯や、印鑑はできないのに数珠はできる理由は、ブログ象牙の数珠・ネックレスのクリーニング、はじめましたに書きました。
普段のお手入れは印鑑と同じです。外したあと、使ったあとに柔らかい布で拭き、たまに繊維の抜けない布で磨いてください。
取り扱いの品は象牙の数珠をご覧ください。
⑦こんな扱いは避けてください
- アルコールや薬品を含んだクリーナーでの拭き取り(変色の原因になります)
- 水に長時間浸けたままにすること
- 硬いもので強く擦ること(表面に傷がつきます)
正しくお手入れをしていただければ、象牙の印鑑は一生、あるいは世代を超えて使い続けられる道具になります。
ご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。
お手入れの前に素材そのものを知りたい方は象牙についてを、選び方と価格の目安は象牙印鑑の選び方と価格をご覧ください。

ログイン
ベストセラー



キーワード検索
営業日カレンダー